埼玉県議会が「インボイス制度廃止」を国に求める意見書を可決
2024年12月20日、埼玉県議会は、適格請求書等保存方式、いわゆる「インボイス制度」の廃止を求める意見書を賛成多数で可決しました。この意見書は、自民党県議団が主導して提出され、制度が中小零細企業に与える影響に配慮したものです。地方議会でインボイス制度の廃止を求める動きが可決されたのは全国で初めての事例となります。
インボイス制度とは?
インボイス制度は、2023年10月に導入された新しい仕入税額控除の方式です。複数税率に対応するための仕組みとして導入されましたが、以下のような課題が指摘されています。
- 事務負担の増加
多くの事業者が請求書の形式を新しい規定に合わせる必要があり、経理業務が複雑化しました。特に小規模事業者にとって、この変更は大きな負担です。 - 実質的な増税の懸念
免税事業者であった個人事業主などが課税事業者に転換するケースが増え、収入の減少や税負担の増加が問題視されています。 - 事業者間の格差拡大
大規模事業者に比べ、小規模事業者やフリーランスの人々が不利になる状況が生まれているとの批判があります。
埼玉県議会の意見書の内容
意見書では、インボイス制度が中小零細企業や個人事業主に与える深刻な影響を指摘し、以下の提案を政府に求めています。
- インボイス制度の廃止または抜本的な見直し
- 中小企業やフリーランスが直面している事務負担の軽減策の実施
- 地域経済への負担を最小限に抑える政策の導入
地方議会としての先例と意義
埼玉県議会が初めてインボイス制度廃止を求める意見書を採択したことは、他の地方議会や国政に対して重要なメッセージを送るものです。特に、地方の自民党が政府の政策に対して反旗を翻す形は異例であり、政府内外で議論を呼ぶ可能性があります。
今後の注目ポイント
- 他の地方議会が同様の意見書を採択するかどうか
- 国会や政府が埼玉県議会の動きをどのように受け止めるか
- 中小企業やフリーランスを支援するための具体的な政策が示されるか
埼玉県議会の動きは、インボイス制度が抱える課題への関心を高め、より多くの声を政府に届けるきっかけになるかもしれません。地方発の改革が全国に広がるのか、今後の展開に注目です。